グラフィックデザイナーは「色」に強くあれ

はじめに

デザインにおいて「色」というものはとても大事な要素の1つです。
特にチラシをはじめポスターやカタログに装丁・パッケージなどなど、実際に印刷して出力が必要となる成果物をつくる機会の多いグラフィックデザインにとっては色を学ぶことは大切です。
私自身グラフィックデザイナーとして、常々色に対してはその重要さを認識しており、やはり定期的にその情報をアップデートしたり勉強などをして探究しています。

色については他の各業種のデザイナーはもちろん深く知っておく必要がありますし、デザインを依頼するクライアント側も最低限知っておくべきことを知っておくことで打ち合わせやデザイン依頼時に役に立つはずです。

CMYKとRGBの違い

まず基本的なことですが雑誌やチラシなど印刷用として使われる色は、普段PCやスマートフォンなどの画面を通して見ている色とは異なるものです。

印刷で用いられる色は「CMYK」と分類され、シアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)ブラック(K)の4色のインクを掛け合わせて作られています。
特殊インクや印刷を除けばほとんどがこのCMYKを使って印刷されるため、グラフィックデザイナーであればまずこのCMYKという色についてはしっかりと理解し適切に利用する必要があります。
※ちなみにCMYKのKは実際にはブラックの意味ではなく、キートーン(Key tone)のK。

対してテレビやPC・スマートフォンなどといったスクリーンやWeb画面などで用いられるのが「RGB」で、レッド(R)グリーン(G)ブルー(B)の三原色で構成されています。
デザイン制作下においてはさらにその中にある「sRGB」「AdobeRGB」の2つを知っておくとと良いと思います。

sRGB:PCやプリンタなどの機種に依存することなく意図した色を出力するための表現形式。機器の違いによる出力イメージが異なることを防ぐ代わりに表現できる色空間が若干狭い。スマホやデジカメなどで撮影した写真などは大体sRGB。

AdobeRGB:sRGBに比べ表現できる色空間がsRGBに比べて広いが専用の機器を揃える必要がある。

グラフィックデザイン・デザイナーにとって最終的に納品するデータとしてカラーモードがCMYKになっているかなっていないかという部分を守ることがとにかく最低限忘れてはいけないことです。
CMYKとRGBではそれぞれ異なる色空間を持ち合わせているため、実際IllustratorやPhotoshopなどで作業する際それぞれのカラーモードでできることとできないことに結構違いがあると思います。

色によってもたらされる効果

私たち人間は普段日常生活から様々なシーンにかけて沢山ものを目にしていますが、そこにはとにかく「色」が存在しています。
そしてその色がもたらす効果によって自分でも気付かないうちに気分を変えたり、時に何かの意思や行動を決定する手段の一つになったりすることも多々あるのではないでしょうか。

「色」は情報として脳に伝わりまずがその際、色の持っている特性によって様々なな感情を引き出す情緒的効果と、適切な色を用いることでモノの視認性が向上したりする機能的効果の2つの役割を備えています。

情緒的効果は色の持つイメージを利用して見た人の感情を左右し行動や印象に働きかけるもの。人によって色にもつイメージが異なるため100%とはいきませんが、例えば赤なら情熱的で興奮を与えるという一般的な認識に訴求したりすることができます。
一方機能的効果としては、色の組み合わせ(配色)によって見やすさや視認性、注目度といったものを上げることができるというものがあります。
どちらもデザインにおいてとても重要なものに感じるかと思いますが、実際その通りで色・配色デザインというものはデザイン全体においてもとても大切だと言えます。

カラーマネジメントとカラーコミュニケーション

デザインデータを作成するのはPCになりますがその際見ているのはRGBで構成されている色のモニターとなりますが、画面上では鮮やかに映っている色も実際に印刷する際にはその鮮やかさは再現されないことがほとんどです。
またデザイナー側で使用しているモニターとデザインを提案するクライアント側のモニター環境の違いが生じます。そういったこともあり割とデザイナーとクライアント間に色のトラブルといったものが起こることは稀ではありません。

そのためできることとの1つとしてあるのが

・作業モニターのキャリブレーション
・カラーガイドなどの導入

などがあります。

作業モニターのキャリブレーションはカラーマネジメントの一環ですが、別途キャリブレーションセンサーを購入し使用している作業用モニターに対して行うもので、簡単に説明すれば使用しているモニターで見ている色を実際の出力時の色合いに近づけます。
これによって上記に挙げているような色イメージが異なるということを回避し、制作の中でしっかりと完成イメージを掴みながらデザインができます。

あとデザイナーとクライアント間との環境の違いでデザインのカラーに異なる印象を持つ場合も少なくありません。そうした際にはそれぞれの手元に共通のカラーガイドや色見本などを共有してもっておくことで、できるだけ意思疎通の図れたデザインの提案もできるかなと思います。

いずれも完璧に色を合わせる、あるいは同じ色を再現するというのは少し難しいのと、本格的にカラーマネジメントを行うにはそれなりの費用が必要となります。
まぁそれくらいデザインと色の関係と重要性の高さを示しているということではありますが、少なくても誰でもできる部分として今使っているモニターに標準でついているキャリブレーション機能を使ったりなどし少しでも色に関するやりとりの質というものを上げてみてはと思います。

最後に

冒頭でもお伝えしたとおり「色」はデザインにおいて大事な要素になりますが、とりわけ実際の印刷物などを制作するグラフィックデザイナーにとってはより顕著にその傾向があると言えます。
何も知らずにRGBでデータを作成&入稿してしまい、出来上がった成果物がイメージと異なりクライアントから大目玉を喰らってしまった、なんていうことがないようにしっかりと「色」に関しては勉強しておきましょう。

また色がそれぞれがどのような効果をもたらすのかなどを理解することで適切に色を選ぶことができ、結果デザインの作業時間の効率化と明確で意義のある配色デザインををすることが可能にもなります。
日頃何気なく目にしている様々なものにも、「色」という部分にフォーカスして見てみると何故この色を使っているのか、など改めて気づくこともあるかもしれません。

デザインと色の関係はとても深く、また完全にその全てを理解しようとするのはなかなか大変ですが、少しずつ勉強し身につけていくことでデザイナーとしての力量は間違いなくあがると思います。

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