創作物としての著作権
デザインの世界に関わらず、世にあるすべての創作物にはからなず「著作権」があります。
著作権の概要としては、
「著作権」とは、「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利です。他人がその著作物を利用したいといってきたときは、権利が制限されているいくつかの場合を除き、条件をつけて利用を許可したり、利用を拒否したりできます。
出典:公益社団法人著作権情報センター「著作権って何?」より一部抜粋引用
上記のように、著作物を創作した人物に発生する権利です。
デザインや美術、音楽や映像作品などといった分かりやすい成果物があるもの以外にも、「独創性」が認められる創作物にはすべて著作権が認められます。
著作権には別途申請や手続きなどは特別必要なく、創作をした時点で自然とその制作者に付与されるものとなっています。
この著作権は基本的に何人にも侵害されることが許されないものではありますが、正式な手続きなどを行うことでその権利を第三者に譲渡することが可能です。
クライアントからデザイン成果物だけではなく、同時に著作権も譲渡して欲しいという打診をされた経験のあるデザイナーの方もいるでしょう。
著作権の譲渡
著作権の譲渡は創作者と譲渡して欲しい側との双方の間に「合意」があれば成立します。
そのため合意さえあれば正式な手続きをせずとも著作権を譲渡することはできますが、あとあとトラブルになる可能性が高いためしっかりと契約書を交わしておくことが望ましいでしょう。
著作人格権
著作権と同時におぼえておきたいのが「著作人格権」です。
著作者人格権 (ちょさくしゃじんかくけん、英語: moral rights) とは著作権の一部であり、著作物の創作者である著作者が精神的に傷つけられないよう保護する権利の総称である。美術・文芸・楽曲・映像といった著作物には、著作者の思想や感情が色濃く反映されているため、第三者による著作物の利用態様によっては著作者の人格的利益を侵害する恐れがある。しかし、国際条約や各国の著作権法によって、どこまでを具体的に著作者人格権侵害として認めるかは異なる。
※wikipediaより引用
著作人格権は著作権同様に創作物の制作者に帰属します。
この著作人格権の主な権利の内容として重要なのが、
- 公表権(著作権法第18条)
- 氏名表示権(著作権法第19条)
- 同一性保持権(著作権法第20条)
以上の3つが特にクリエイター目線では重要かつ覚えておくべき権利です。
公表権や氏名表示権などは、簡単にいえば創作者は自身のHPやSNSなどでその成果物の発表や発信が可能という内容。
自分の制作実績などを公表・公開することは、新たなる仕事に繋げていく可能性や認知度向上のためにも必要な取組みだと言えるので、この公表権や氏名表示権は重要な権利だと言えます。
同一性保持権は、著作物を第三者側で勝手に修正や改変を許諾しないという権利。
よく納品したチラシやポスターなどを一部改変して別の機会でも利用しているというクライアントの方を見かけますが、厳密に言えばこれはこの同一性保持権を侵害しているということになるので、万が一創作者から異議を唱えられたら真摯な対応が求められますし、最悪の場合訴えられる可能性もないとは言えません。
この他にも著作権法第113条11項は、自身の名誉や尊厳を傷つけるような場合での利用などを禁止するというものもあります。
デザインの修正や改変などする際には著作権以外にも著作人格権が行使されます。
そのため依頼者側は著作権の譲渡を求める場合には制作者に著作人格権を行使しない旨を、著作権譲渡契約の中に不行使特約を設けるなどして対処・対応などをしておく必要があります。(著作人格権は譲渡は不可のため)
納品してもらったデザインデータを別の人に修正してもらう可能性がある、成果物を制作した旨を公表しないで欲しい、といった場合にはこの著作権人格権の行使を行わないで欲しい旨と契約をするようにしましょう。
対してクリエイター側は著作人格権の行使ができない場合、自身の実績として公に公開することができなくなりますので、その分成果報酬を高く貰うなどあらかじめ自分の報酬設定などを考えておく必要があります。
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