会社勤めが困難な方が、独学でフリーのグラフィックデザイナーになるための最初の3ステップ

はじめに

この記事では会社に出勤して勤めるのがが困難だけど、フリーランスのグラフィックデザイナーを志したいという方に向けた内容となります。
そのため一般的なフリーランスのグラフィックデザイナーになるために必要な内容とは、少し違ったアプローチのご紹介となるかもしれません。
可能な限り「在宅とデスクワーク」によるデザイン事業の展開をされたい方などへの参考になればと思います。

そもそもこの記事を書こうと思ったキッカケも、私自身がかつてデザイン事務所在籍時に「一次性ネフローゼ症候群(指定難病222)」という疾患を発症し、その後自宅療養を続けながら自分のペースで仕事をするためにフリーランスになったという経緯があります。
その際の経験などを活かし、同じように何らかの事情で会社に勤めたり、出勤すること自体が困難な方に向けデザイン未経験の方でも独学でグラフィックデザイナーになるため」という内容で、まずは最初の心構えとして簡単な3つのステップをご紹介します。

これからご紹介する内容は、デザイナーを志す上で基本的な部分のものであり、具体的なデザインの学習やスキルの身に付け方ではありません。先にお伝えしたように、心構えのような意味合いとしてこれらを踏まえていただき、今後追記していく予定の記事なども参考に、フリーランスのグラフィックデザイナーを目指していただければ幸いです。

デザイン初心者でもプロのグラフィックデザイナーになれる

まずは最初に、独学でグラフィックデザイナーになれるのか?という疑問に対して結論から言えば、これまでデザインに触れてこなかった方でもなること自体は可能です。

そもそもグラフィックデザイナーにはプロの資格や認定制度といったものは無いため、極論で言えば自分で開業届けを提出して「今日から私はプロのグラフィックデザイナーです」と名乗ること自体は自由です。
ただ自他共に認められ、堂々と胸を張ってプロだと言えて安定した収入を得るためには、スキルや知識に加え様々な経験など、およそ一長一短では身につけられない要素が必要なのは間違いありません。

また昨今ではただデザインができるというだけではなく「他のデザイナーと差別化が図れるモノ」といったものが強く求められている時代になっているなと痛感します。
インターネットの普及で雑誌や書籍といった紙媒体のものが減少傾向にあり、以前からプロとして活動しているグラフィックデザイナーでさえ、決して順風満帆な経営状況ばかりなところではないのが実情かと思います。
加えて今後も新型コロナの影響のような突発的な出来事が起こることを想定すれば、そうした差別化を図って自分だけの強みをつくっていくことは必須になってくるはず。
そういう意味では、ゼロからグラフィックデザイナーとしてだけで食べていけるようになるという道よりも、グラフィックデザインのスキル・知識・経験を身に着けながら、それを別の道にも役立てていくという方法を検討しても良いかなと思います。

体力面に関して言えば、大部分を在宅で作業することは可能です。
昨今の社会情勢や働き方の多様性からも、打合などのやりとりをオンライン上で対応できるという場面も増えてきました。
そういう意味では出社することができないといった、体力・健康面で不安のある方でも、自分にあったスタイルで働けるというメリットは多分にあると思います。

その代わり、フリーランスゆえに実務以外の部分でやらなければならないこともたくさんあります。
収入面に関しても何もないゼロからのスタートであれば、まとまった収入を得るまでにはかなり時間がかかりますし、何より安定性という部分では大分欠けるものがあります。
無理をして自身を追い込んでしまうことのないように、まずはできる範疇で自分のペースで物事に取り組むようにすることが大切です。
そのため自分だけでなく周囲のサポートや補助といった支えも十分に活用し頼ることも重要です。

デザインは私たちの日常生活の中で必ずといってと言いほど身近にあり、普段の生活の中で知らず知らずのうちに感じられるものです。
例えばいつも何気なく座っている椅子も人間工学に基づいて長時間座っていても疲れにくく作られていたり、身につけている衣服や装飾品、食事や睡眠などいたるところにデザインは存在しています。
常日頃からそうした身近にある様々なコトに対して何らかのアンテナを張っておくというのは、デザイナーの素質として1つ重要なことだと思います。

素人でもプロのグラフィックデザイナーになることはできるが、安定した収入を得るのは一筋縄ではいかない。

STEP.1 なりたいデザイナー象を具体化させる

最初のステップとして、まずは自分がどんなグラフィックデザイナーになりたいのか、なるべきなのか、なれるのか等をしっかり具体的に決めるところから始めましょう。
自分がどこを目指すべきなのか、ある程度のゴールが決まっていればそれに応じて必要なスキルや知識といったものもわかってくると思います。

といっても未経験の状態から、自分がどのようなデザイナーになれば良いのかわからないという方も多いかと思います。そこで今一度グラフィックデザイナーとはどんな職業なのか、どんなメリットとデメリットがあるのかなど振り返りつつ、自分がなぜグラフィックデザイナーになりたいと思ったのかを考えてみてください。

フリーランスのグラフィックデザイナーとしてのメリット、デメリットとしては下記の内容などが挙げられます。

フリーランスグラフィックデザイナーのメリット

・「自分の制作したものが認められる」「誰かの役に立てる」などといった得難い喜びを感じられる
・デザイン、創作する楽しみがある
・自分の才能を鍛えられる
・自分の裁量で仕事を選べる
・仕事する場所、時間など自分のスタイルに合わせられる

フリーランスグラフィックデザイナーのデメリット

・安定した収入・集客を目指すのは大変(収入は力量次第)
・デザイン以外の業務も行わなければならない
・チームで取組むような大きなプロジェクトは請けにくい
・時に無茶な要求をされることがある
・デザインスキル以外にもナニカが必要

といった具合に、簡単にフリーのグラフィックデザイナーとしてのメリット・デメリットを挙げてみました。
メリット部でいえばやはり自身でデザインする喜びや楽しさ、そして仕事の成果が具体的なカタチとして残るという部分が大きいでしょう。私も初めてデザインした雑誌が書店に並び、編集クレジットに自分の名前が掲載されているのをみた時は嬉しくて感動しましたね。

デメリット部に関して言えばフリーランスゆえの悩みという部分では、特別グラフィックデザイナーに限らずといったものかもしれません。特にフリーランスは他の競合相手も多く、うまく「差別化」を図る必要があります。そういった部分でデザインだけできてもダメということに繋がるのですが、デザイン以外のナニカを見つけるというのも人によっては苦労するところでもあります。

グラフィックデザイナーの仕事はやり甲斐があり魅力的ですが、時に労力に見合わない報酬となる場合もあります。もちろん自身のスキルや経験に基づく部分が大きいですが、特にフリーランスになりたての最初の頃はそうした傾向が強くなりがちなので大変だと言えます。また基本的にクライアントの意向に沿う必要があるため、自分の個性を前面に出すということは難しい場合が多いです。

こうしたことなども踏まえ、自身がどのようなグラフィックデザイナーになるべきかを決めていただければなと思います。

STEP.2 自分に必要なモノをリストアップする

ゼロから始めるという方は何から準備すれば良いのかなどわからないと思いますので、まずはどのようなモノが自分に必要なのかをリストアップした挙げていくのが次のステップです。

リストアップの内容は人によって様々になりますが、共通して必要となってくるのはパソコンと専用のアプリケーションは共通して必要となります。あとはプリンター(インクジェットでも可)もあった方が良いでしょう。

パソコンはマシンパワーがある程度必要なので、ラップトップではなくデスクトップのPCがベスト。そしてもう1つデザイン制作に必須な専用アプリケーションですが、ここはAdobe製品一択となります。プライベートな作業であればフリーソフトで代用可能なこともありますが、仕事として利用するならAdobeのPhotoshopやIllustratorなどが必須となります。

Adobeの製品は数年前からCreative Cloudというクラウドタイプのアプリケーションに移行しました。PhotoshopやIllustratorやInDesignといったグラフィックデザインには欠かせないものから、動画編集やWebサイトが制作できるものまで含まれたコンプリートプランというものもあります。自身の目指すデザイナーのスタイルに合わせ、導入プランを考えるのがベストかと思います。
またWeb上のオンラインスクールなどに申し込むことでPhotoshopやIllustratorの学習をしつつ、AdobeのCreative Cloudが学生価格で導入することも可能です。これまで一切こうしたものに触れてこなかった方にはこうしたサービスの利用もオススメです。

グラフィックデザインに関する勉強に関していえば、一般的に他の人と同じような内容を勉強をするよりかは、できれば自分の進みたいジャンルに特化して進めるのがオススメです。もちろんグラフィックデザイン全般を詳しくなることは間違いではありませんが、自分の強みというものを1つ持ちそれを大きく伸ばしていくという方が、フリーランスとして他の人と差別化を図るという意味でも良いかなと思います。

STEP.3 スキルの習得がてら何かつくってみる

ステップ2でリストアップしたモノが用意できたら、それらを用いて実際にデザイン制作をしてみるというのが次のステップです。

デザインするといってもその前にアプリケーションの使い方をある程度覚えなければなりません。Adobeの各アプリケーションには初心者向けのチュートリアルがいくつも用意されているので、それらを利用して操作感などに慣れていくと同時にチュートリアルによってはそのまま名刺やチラシといったものを作成できるものがあります。

また最近ではプロから直接レクチャーが受けられるものや、Youtubeなどの動画でもたくさん初心者向けの講座的動画もあります。こうした有料から無料まで多岐に渡り多くの教材がありますので、勉強するという部分に関しては今はかなり恵まれている環境かなと思います。最初のうちは色々出来るようになりたいかもしれませんがお伝えしている通り、何が必要なスキルなのかをきちんと学ぶべき箇所をリストアップしてから取り組んでください。

そしてある程度のスキルが身についたらまずは自身で何かを制作してみることをオススメします。ここでは特にデザインに関して深く考えずとも、とにかくつくってみるということが大切です。実際に制作した中で分からなかったこと、できなかったことなどをメモに書き留め1つずつ改善していくことで、スキルやデザインの上達につながっていきます。

最後に

今回ご紹介した3つのステップは最初の導入的な部分、いわば最初の1歩です。ここから日々スキルの習得や知識の勉強など、研鑽を積んでいくこになります。より本格的にグラフィックデザイナーになるための内容は、また次の機会にご紹介できればと思います。

冒頭にお伝えした通り、私自身指定難病を患い療養を続けながらもプロとしてグラフィックデザイナーの仕事を行っています。その背景にはもちろん家族や友人・知人の協力や助力あってこそですが、クラウドソーシングサービスなども増えてきてオンライン上でも仕事ができる環境になったことが大きく起因しています。

今では相手の顔さえ知らない、話さずとも1つのプロジェクトが完了してしまうという事例もあります。もちろんデザインにおいては本来そうした希薄なやりとりだけでは難しい場面も多々あるのですが、それでも会社勤めが困難な方にとっては仕事ができる喜びと機会を得られることは素晴らしいと感じます。

グラフィックデザイナーの在り方としてよく紹介されている様な一般的な仕事の請け方は難しいかもしれませんが、そうした「こうでなければいけない」という固定概念を取り払い、自分のスタイルで自分流な働き方ができるのが今の時代です。またグラフィックデザインのスキルを持ち合わせてまた別のシーンで活かせることもできますので、1つの可能性に依存しない働き方を是非していただければと思います。

私のように基礎疾患を抱えている方、怪我や身体的な問題から通勤するのが困難な方など、そういった方でもプロのグラフィックデザイナーとして歩み出す最初の一歩として参考になれば幸いです。

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